小噺
可愛い男の子。大通りを歩いていて、おしっこをしたくなりまして、
「おしっこしたい!」
と大きな声でお母さんにいいました。お母さんは恥ずかしがって、顔を真っ赤にして、
「これからおしっこがしたい時は『お歌を歌いたい』と言ってね、坊や。お母さんはそれで分かるから」
と約束をした。
その夜。お父さんとお母さんに挟まれて寝ていた坊や、またおしっこがしたくなりまして、目を覚まします。お母さんを起こしても起きないので、仕方なくお父さんを起こしてですね、
「おっとう、おら、お歌を歌いてぇ」
お父さんは何も聞いてないから、知りません。
「夜には、歌なんか歌うもんじゃないよ。いいから寝な。」
「うん……、でも、どうしても歌を歌いてぇんだ。もう漏れそうなんだ。」
「なにぃ、漏れそう…?そんなか!」
「うん。」
「よしわかった。お母さん起こさねぇように、布団の中で、そっと俺の耳元で歌ってみろ……」