落語のまくら Ⅲ
「ねえ、ねぇ、結婚したんだって!」
「そうなの」
「いいなぁ。ねぇ、朝はどっちは早く起きるの?
やっぱりあなたが早く起きるの?」
「えっとねぇ、彼の方が早く起きるの。」
「わー、素敵!」
「うん、だからね、いっつも起こしてもらってるの、彼に。」
「いいなぁ、優しい彼だね。どうやって起こしてくれるの?」
「いっつもこう、カーテンを少しだけ開けてくれて、ほら、全部開けると眩しいじゃない、だから。」
「それで、それで♬」
「それでね、軽く肩に触れて、揺らしてくれてね、ほっぺに軽くチュッてしてくれて、優しい声でね。『朝だよ、まゆみ』って言ってくれるの。」
「あなたはなんて答えるの?」
「うん、『まゆみじゃなくって恭子よ』って。」